ここでは『ノルム空間Xにおいてコンパクトならば完備である』ことの解説、証明をします。
関数解析としていますが、解析・位相として見てくれても問題ないです。
証明の流れ
いきなり証明に入っても分からないかもしれないので、順に確認しながら見ていきましょう。
ノルム空間ならば?
ノルム空間ならば、距離空間の話になるので、コンパクトと点列コンパクトが同値になります。
これに関しては覚えておいてもよいでしょう。
ボルツァーノ・ワイエルシュトラスの定理を見ておくとより理解できるはずです。
点列コンパクトならば?
点列コンパクトならば、任意の点列が収束する部分列を含むことがいえます。
これを使って証明をします。
完備であるのは
簡単に言うと、完備であるのは、任意のコーシー列が収束することです。
証明
上の確認のもと、証明を進めていきます。
まず、の任意のコーシー列
を用意します。
ノルム空間がコンパクト、すなわち点列コンパクトなので、
任意の点列が収束する部分列をもつため、の中のこれ(部分列)を
としましょう。
また、上はに収束するものとします。(実際の証明では、ここはしっかりと書くようにしましょう)
なので、
任意のに対し、
となることがわかります。
右辺はコーシー列であることと、収束する部分列をもつことを使い、それぞれに対するものだとします。
すると、その和がとなるので、
が言えます。
よって、が収束する(コーシー列が収束する)といえたので、完備であるわけです。
証明終了。