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【関数解析】ヤングの不等式の簡単な証明からヘルダーの不等式へ

ここではヤングの不等式の簡単な証明をします。
関数解析ルベーグ積分を勉強しているとヘルダーの不等式を使うのですが、
その証明にはヘルダーの不等式が必要になってきます。

この機会に証明とともに使えるようになりましょう。

ヤングの不等式とは?

\dfrac{1}{p}+\dfrac{1}{q}=1を満たすp,q\in \mathbb{R}をとれば、
a,b\in \mathbb{R} ,( a,b\geq 0)に対し、以下の不等式が成立する。

ab\leq \dfrac{1}{p}a^{p}+\dfrac{1}{q}b^{q}

a^{p}=b^{q}のとき等しくなる(等号成立)。

上の不等式をヤングの不等式という。

\dfrac{1}{p}+\dfrac{1}{q}=1は共役指数などで聞いた(見た)ことがあるはず。
ヘルダーの不等式でも使いますからね。

証明

a,b=0のときは明らか。それ以外(( \neq 0))で考えます。


凸関数(対数\log)の性質を使うと上手く証明できそうなのでこれでいきましょう。

凸関数については既知としますが、忘れたor知らない場合はウィキで確認しましょう(凸関数 - Wikipedia)。


で、この凸関数は『下に凸』を指すので、\logをそのまま使うのはまずいです。
※示したい不等式の形にならない。
なので、-\logとして考えましょう。


すると、


\begin{aligned}- \log\left( \dfrac{1}{p}a^{p}+\dfrac{1}{q}b^{q}\right) &\leq -\dfrac{1}{p}\log a^{p}-\dfrac{1}{q}\log b^{q}&\\& =-\log ab&\end{aligned}

※普通、-\logのマイナスを最初に掛けて\logの不等式で表します。
ここではわかりやすくするために-\logとしました。


最後に両辺に-1を掛けて、対数を外すと、求めたい(ヤングの)不等式を得ます。

これで証明終了です。

あとがきと次の記事について

このヤングの不等式ですが、実は筆者、名前を知らずに使っていました。
最近まで。
こういう不等式あるよね、使うよね、と。

ショックでしたね。いろんな意味で。


さて、あとがき的な呟きは置いておいて、このページの下にある記事が続きとなります。
ヘルダーの不等式やミンコウスキの不等式について書いていますので、あわせて見ておきましょう。

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