ドジソンの本棚

上の『大学数学』から数学記事検索が簡単にできます

ドジソンの本棚

本サイトはプロモーションを含みます

簡単!極限の計算『lim[x→+0]x^x』【ロピタルの定理】

 

はじめに

関数 x^x は、通常の指数関数とは異なり、変数が底にも指数にも含まれるため、その極限の評価には工夫が必要です。

特に今回は、次の極限を求めます:

\displaystyle \lim_{x \to +0} x^x

一見すると、x \to 0^+ では x^x \to 0^0 の形になり、不定が生じます。

このような場合には、ロピタルの定理対数変換を活用します。

 

ステップ1:指数の性質を利用して変形

まず、関数 x^x を指数関数の形に書き換えます:

x^x = e^{x \ln x}

したがって、求める極限は次のように書き直せます:

\displaystyle \lim_{x \to +0} x^x = \lim_{x \to +0} e^{x \ln x}

ここで、指数関数 e^{(\cdot)} は連続関数であるため、極限の中身を先に求めることができます:

\displaystyle = e^{\lim_{x \to +0} x \ln x}

したがって、核心は以下の極限の評価にあります:

\displaystyle \lim_{x \to +0} x \ln x

 

ステップ2:極限 \lim_{x \to +0} x \ln x の評価

ここで、x \to 0^+ のとき、

  • x \to 0
  • \ln x \to -\infty

したがって、積 x \ln x \to 0 \cdot (-\infty) の形となり、不定0 \cdot (-\infty) が生じます。

このような場合、ロピタルの定理を適用できる形に変形するのが有効です。以下のように変形します:

x \ln x = \frac{\ln x}{1/x}

これで、分子 \ln x \to -\infty、分母 1/x \to \infty の形になり、 全体は \frac{-\infty}{\infty} という不定形となります。

 

この形に対してロピタルの定理を適用します。

 

ステップ3:ロピタルの定理の適用

ロピタルの定理より、分子・分母を微分して極限を評価します:

\displaystyle \lim_{x \to +0} \frac{\ln x}{1/x} = \lim_{x \to +0} \frac{1/x}{-1/x^2}

\displaystyle = \lim_{x \to +0} -x = 0

したがって、

\displaystyle \lim_{x \to +0} x \ln x = 0

 

ステップ4:結論の導出

以上より、

\displaystyle \lim_{x \to +0} x^x = \lim_{x \to +0} e^{x \ln x} = e^0 = 1

 

終結

\boxed{\lim_{x \to +0} x^x = 1}

 

補足:x → 0⁻ ではどうなるか?

関数 x^x は、実数の範囲では x < 0 のとき未定義(虚数を含む可能性あり)です。

したがって、極限を考えるのは x \to 0^+ の場合に限られます。

まとめ

以下、この記事のまとめです。

  • x^x の極限では、指数関数の性質を利用して x^x = e^{x \ln x} に変形する。
  • 中身の \lim_{x \to +0} x \ln xロピタルの定理で評価する。
  • 極限結果は \boxed{1} である。

 

【必見】おすすめ記事

dodgson.hatenablog.com

数学記事まとめ↓

dodgson.hatenablog.com