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密着位相が距離付け可能とならないことの証明(位相空間)

ここでは密着位相が距離付け可能とならないことの証明をします。
説明上、少し省く部分もありますので、各自で証明を完成させてください。

距離位相と距離付け可能について

まずは距離位相の話からです。先に確認しましょう。

距離位相はXの位相\mathcal{S}がその距離関数dにより、

\mathcal{S}=\mathcal{S}(d)

となれば、\mathcal{S}dにより導かれる距離位相という。

でした。
追加で、このときの位相空間(X,\mathcal{S})を距離付け可能というのでしたね。

ここらへんは集合位相の本に載っているはずです。

密着位相

Xを任意の空でない集合とする。
※後の証明のため、Xの元は2つ以上あるとします。
このとき、\mathcal{S}_0 =\{X,\emptyset\}とすると、
これは位相の条件を満たします(Xの位相構造となる)。
なので、この\mathcal{S}_0密着位相と言います。

ちなみにそれらの組(X,\mathcal{S}_0)を密着位相と言います。

証明のヒント(距離付け可能でない)

ヒントとありますが、ほぼ答えのようなものです。
どうしてもわからないなら、繋ぎ合わせていけばいいだけです。

証明(簡略版)
距離付け可能でないことを示すので、背理法を使います。
つまり、距離付け可能として矛盾を導きます。

距離付け可能ならば、上で確認した通り、
\mathcal{S}_0 =\mathcal{S}(d)とできます。

ここで、\forall x_{1},x_{2}\in X( x_{1}\neq x_{2})を取り、
\forall \varepsilon >0に対して、\varepsilon <d\left( x_{1},x_{2}\right)であるとき、
U \left( x_{1};\varepsilon \right) \in S_{0}となります。

しかし、上の近傍はx_2を含まないため、U \left( x_{1};\varepsilon \right)\neq X,\emptyset
となり、矛盾。

これで証明が言えました。足りないと思う所は各自で付け足してください。

おわりに

参考文献
証明に関しては
位相空間論:現代数学への基礎』小山晃,森北出版2021
を参考にしました。
わかりやすく説明した本で好きな一冊です。